2017年1月20日金曜日

万年筆用のインキ

タイトルの「インキ」はインクの間違いではありません。
パイロットは万年筆用にインキを多数用意しています。

私の考えですが、ink をフランス語で発音した場合、
インキと聞こえます。その理由は次のとおり。

(余談になりますが、少々お付き合い下さい。)

最初に母音イの発音時に口の両端が横に引っ張られます。
無声音の nとk まで、そのまま同じ口の形が続きます。
どうでしょう? インキと聞こえますか?

これとは関係ないのですが、別な単語の発音についても
書いておきます。娘・女の子の意味のフランス語は fille 。
カタカナではフィーユ。この時、最後のユに当たる
口の形は上のインキの時に近いです。

フィーまでは口の両端が横に引っ張られます。
次にその緊張を解きます。そうすると、最後の
音がユに近い音に聞こえます。日本語で、
唇を丸めて突き出す形のユとは全然違います。


フランス語の発音講座ではないので、本題に戻ります。

パイロットのインキ、色彩雫(いろしずく)のシリーズに
ミニ3色セットのA,B,Cがあります。通常の瓶(ビン)では
容量が57mlのところ、これらは一つが15ml。セット価格 1700円

yama-guri と tsutsuji は同じパイロットの通常サイズ(57ml)。1500円
漢字だと「山栗」(茶系)と「躑躅」(赤系)。

次に3色セットのケース(プラスチック製)と内容を示します。

パイロット 万年筆インキ ミニ iroshizuku 3色セットA
月夜(つきよ) 竹炭(たけすみ) 紺碧(こんぺき)
パイロット 万年筆インキ ミニ iroshizuku 3色セットB
朝顔(あさがお) 深海(しんかい) 山葡萄(やまぶどう)

パイロット 万年筆インキ ミニ iroshizuku 3色セットC
天色(あまいろ) 冬柿(ふゆがき) 松露(しょうろ)

右側の碇(いかり)のマークはセーラーの「函館山」(緑系)。50ml  2000円
函館のお隣・北斗市七重浜(ななえはま)の石田文具オリジナルのインクです。

その下は PARKERのQUINK WASHABLE Blue(青系)。57ml 送料込み 1512円

以下は2017年1月に購入した万年筆とコンバーター。

パイロット 万年筆 プレラ カリグラフィ FPRN-350R-TLCM 透明ブルー
1/17 2556円 (コンバーター付き)

LAMY ラミー 万年筆 ペン先M(中字) サファリ スケルトン L12-M 両用式 コンバーター別売 正規輸入品
1/18 2260円

LAMY ラミー 万年筆用 コンバーター LZ24 サファリ アルスター ネックス用 正規
1/18 550円X2本
このラミーの万年筆で少し書いてみました。インキはPilotの「山葡萄」。

アルファベットの筆記体なんて、書くのは50年振り。
使用したノートはこれです。
Oxford オックスフォード A5リングノート (B)方眼[CN062]
1730円(本体1400円+送料330円)ミシン目があるので切り離し可能。

この製品を紹介しているのは次のムック。
『趣味の文具箱 Vol.20』エイムック 2011/8/20
同書 P.78

同じ本のP.70にある「マルマン Boston Note」(B5サイズ)も
Amazonで注文するつもりでしたが、何故か1万円以上もの
値が付いているので諦めて、マルマン ニーモシネ A6 7mm横罫に
代えて、蔦屋書店で購入。

ちなみに、書き写したフランス語の原本は次に。

『やさしいフランス語で楽しむ荻野アンナのフラふら落語』
NHK出版(新書版) 2014/7/20 税込 1080円

次に本文のコピーを。落語の「饅頭(まんじゅう)怖い」から。
フランス語の文法の解説などありませんので、この本は中級クラスの人向け。
たとえば、動詞の活用形が分からないと辞書も引けないでしょう。

私は iPadに入れたクラウン仏和のアプリを使っています。

上記手書きの④中、disait(発音はディセ) が dire(言う、ディール)の活用形では?と推測しながら、direで辞書を引き、活用表で確かめます。
すると、「直接法・半過去・三人称」にあるのを見つけます。

④の続くところに faisait(発音はフゼ)は当然 faire(作る、フェール)の活用と推測、これも同じ活用形に違いない。辞書で活用表を見ると、その通りです。直前に lui(彼) があるので、これも三人称です。

siを引くと〈si + 半過去〉で「……しませんか」という例が出ています。

参考までに、本文④の原語と試訳(直訳)、対訳を並べます。

Et aujourd'hui, si tous le monde disait ce qui lui faisait vraiment peur ?

そして今日は、皆で言ってみませんか? 自分を本当に怖がらせるものを。

「どうだい、今日はね、てんでに怖いものの言いっこをしよう」

フランスに饅頭はないので、chou à la crème(シュークリーム)に代えています。phobie は恐怖症という意味の語尾。英語だと phobia。




2017年1月19日木曜日

さまよう犬 (万年筆の練習) プラチナ センチュリー<細字>、カクノ<細字>

 年頭に、今年の抱負というほどの事でも無いが、
今まで試みたことがないことに挑戦したくなり
万年筆を10本用意して、ペン字の練習をすることにした。

 購入した万年筆のメーカーは様々。
100均のダイソーから雑誌の付録のCOACH、
セーラー、パイロット、プラチナ、ラミーなど。

最初に万年筆で書きやすいという原稿用紙を使うことにした。
コクヨのCampus 原稿用紙 タテ書 20X20 (50枚) 250円+税。


これに書く文章だが、いきなり般若心経は難し過ぎるので
短い小説にした。私の一番好きな作家の作品だ。

出処:筒井康隆編『異形の白昼』集英社文庫 1986年
 (親本は立風書房から1969年11月10日に刊行)

ベルギーのシュールレアリスム画家マグリットの岩のような絵だ。
カバーの絵は髙橋常政。
上はカバーの後ろ側。何度も読んだので相当汚れている。

「何ら起伏のない平穏な日々。しかしこの現代に
真の安息はあるのだろうか!? 日常生活の中、
精神的に肉体的にふと忍び寄るさまざまな不安と
歪みを見事に捉(とら)えて抉(えぐ)る、13人の
手になるホラー小説を一堂に集めた傑作集。
カバー見返し。編者・筒井康隆の写真は秋山庄太郎が撮影。
こんな笑った顔は他では見たことがない。歳は30代頃か?

前置きが長くなりましたが、これから小学生にも笑われそうな
下手な字で初めて書いた原稿をご覧に入れます。
(原稿用紙は横に長いので1枚を2分割しています)








最初は緊張して、万年筆を握る手に力が入ってしまった。
ボールペンで書く癖(くせ)が残っているからだ。

原稿用紙を一枚書いた後は、少しずつ手の力が抜けて行った。
しかし、書写用の原本から誤りが無いように見ながら書くので
どうしても力(りき)んでしまうのは仕方ない。

注意したつもりでも、結構、誤字・脱字があったりした。

最後に使用した万年筆の説明をする。使ったインクも。

1.小説の本文を書く際に使用したのは(万年筆の説明の最後は重さ)
 プラチナ #3776 センチュリー ニースロゼ PNB-20000R#5-2 細字(F) 15000円 25g
 使用インク:PARKER クインク 57ml ウォッシャブルブルー(青色)974円

2.編者の解説を書いたのは
 パイロット カクノ(KAKUNO) 細字 グレー 1080円 14g
 使用インキ: Pilot 色彩雫(いろしずく)57ml「山栗」(茶色)1500円

3.最後から一つ前(解説~筒井康隆)は
 パイロット PRERA (CM) 透明ブルー/カリグラフィー 3500円 17g
 使用インキ:Pilot 色彩雫(いろしずく)57ml「朝顔」(青色)1500円

4.それ以外の青い太い字は (下の画像の左側参照)
 DAISO 万年筆 中字 軸色は白 108円 17g
 使用インク:付属のカートリッジのブルー
左からダイソーの万年筆、同じく注射針風のスポイト、雑誌MonoMax
2013年1月号の付録万年筆COACH(中字)。

上からボールペン・Jetstream、カクノ万年筆(重さ 14g)、ダイソーのスポイト、
ダイソーの万年筆(軸が白)、COACHの万年筆(中字、30g)。

COACHの万年筆は軸が焦げ茶色で、雑誌の付録とは思えない豪華な感じがする。
これには「山栗」のインクを入れている。軸の色とマッチさせるため。
字の太さが「中字」なので、手帳には不向きだが、サインに適している。

以下は余談です。

この文庫本の解説に書かれた「精神分析」とは時代背景から
フロイトのそれだと思われる。ご本人がフロイトについて
書いた次のブログをご覧になって下さい。

http://book.asahi.com/reviews/column/2011072903639.html

出処:筒井康隆『漂流 本から本へ』朝日新聞出版 2011年刊

中学生の頃から現在に至るまで、星新一や筒井康隆の書いた本や関連本は、
ほぼ全部買って読んでいる。

河合隼雄とユング心理学関係も同様。
ユングの『赤の書』4万円+税も持っている。重さ5kg。

フロイト『新版 精神分析入門』上 角川ソフィア文庫 2014/3/25 629円+税
フロイト『新版 精神分析入門』下 角川ソフィア文庫 2014/3/25 629円+税


2017年1月14日土曜日

文房具の参考書 12+1 (万年筆を中心に)

 2016年の年末、万年筆に詳しい友人に勧められて
生まれて初めて、初心者向けの万年筆を買うことにした。

現物を買う前に、まずやったのは、参考書を探すこと。
先ずは、発行年の新しい方から順に一覧にまとめた。

なぜ新しい順にしたか。文房具はその他のあらゆる商品同様、
日進月歩で改良が行われている分野であるから。

ちなみに、私の文房具への関心は約5年ごとに湧いて来るようだ。
前回は2010年頃、その前は2006年頃。今回で3回目。

前2回では万年筆は高級で高価だと思い込んでおり、
作家でもない自分には縁が無いものだと感じていた。

しかし、友人から最初は安い万年筆で良いから試してみてはと
アドバイスを受けて、気持ちが楽になった。

そこで次の参考書#1(ナンバーワン)を最初に買った次第。
これらの本の表紙画像は「文房具の本」に掲載。

1.万年筆インク紙 片岡義男 晶文社 2016/11/20

2.万年筆で極める美文字(練習帳付き) 青山浩之 実務教育出版 2016/11/25
3.趣味の文具箱 vol.40 万年筆インクの楽しい世界 エイムック 2016/12/10
4.趣味の文具箱 vol.20 手書きのちから エイムック 2011/8/20

次の2冊は文房具全般について、現状を知るため。

5.文房具完全ガイド 新商品ベストランキング 晋遊社 2016/4/1
6.文房具大賞 私のベスト文房具 宝島社 e-mook 2015/2/20

以下の2010年以前の本は前2回に文房具に関心を持った時期に
購入したもの。

7.究極の文房具ハック 高畑正幸 河出書房新社 2010/9/30
8.究極の文房具カタログ【マストアイテム編】 高畑正幸 ロコモーション 2006/2/10

9.文房具の足し算 和田哲哉 ロコモーション 2009/8/25
10.文房具を楽しく使う【ノート・手帳篇】 和田哲哉 早川書房 2004/7/31

11.頑張る日本の文房具 ロコモーション 2006/6/10
12.やっぱり欲しい文房具 土橋 正(つちはし・ただし) 技術評論社 2006/1/5
13.店員さんがすすめる良品ステーショナリー ロコモーション 2005/8/10

文房具に関心のある人は文具王・高畑正幸の名前は知っているだろう。

#10の姉妹編【筆記具篇】には不満があるので買わなかった。
筆者が使用している製品名が明らかでなく、一般論に終始している。

さて、以上の12冊+1冊で異色なのは#1の「万年筆インク紙」。
作家の片岡義男が書き下ろした目次のない本。本人によると、
ひとまとまりの内容なので、目次は必要ないとのこと。

本人の考えはともかく、利用者(読者)にとっては不親切だ。
1.万年筆インク紙 片岡義男 晶文社 2016/11/20

私のような万年筆の初心者は、この本を読んで万年筆に関する
知識を得ようと思って買ったのに、最初から最後まで読めと
言うのもなぁ。つまみ食いは出来ないということだ。

実際に全部読んだら、万年筆とは関係のない自伝の一部のような
記述もあって、これはエッセイに分類される本だと思った。

ページの見出しも無ければ柱も無し。あの製品の記述はどこに
あったのか、後から調べるのに不便だ。索引が欲しい。

本書の他の特徴としては、本文の文字の色が表紙のタイトルと
同じ青色だということ。目に優しいと感じた。

目次が編集者によって用意されていたのに、著者が不用だと
主張したため、結果的に目次無しの本になってしまった。

仕方がないので、本を読みながら自分でノートに目次を書いている。
後々、それを参照するかどうかは分からない。多分見ないだろう。

これに使用した筆記具は次の万年筆。軸色はグレー。字幅は細字<F>。
 Pilot カクノ 1080円

理由は、万年筆で文字を書く練習のつもり、ということで。

カートリッジは使わず、コンバーター(540円)を入れて次のインクを使用。
 Pilot 色彩雫(いろしずく) 山栗 1620円

これは茶色に相当する色だ。落ち着いていて、ブルーよりも
主張が少ない。

カクノの後に、もう少し大人が使う万年筆らしいデザインのが
欲しくなり、上の3点と、もう一本函館市石川町の蔦屋書店で購入。
(下記の表中、プラチナの万年筆#4)

最後に試し書きのサンプルを示して終わる。

その前に購入した万年筆の一覧を。(ペンケースやノート類も含めて合計4万円)

初めての万年筆(2017) 2017/01/12
(メーカー/製品名/文字幅/軸の色/価格)
0.COACH 万年筆 中字 茶 (MonoMax 2013/1 付録) 768円
1.PILOT KAKUNO 細字 グレー 1080円
2.PILOT PRERA (CM) 透明レッド/カリグラフィー 3500円
3.PILOT PRERA (M) 透明ライトグリーン 3500円
4.プラチナ プレジール 細字 アイスホワイト 1080円
5.プラチナ #3776 センチュリー ニースロゼ PNB-20000R#5-2 細字(F) 15000円
6.DAISO 万年筆 中字 白 108円

インク瓶
1.PILOT 色彩雫 50ml 山栗 1620円
2.PILOT 色彩雫 50ml 躑躅(つつじ) 1620円
3.石田文具 オリジナル 50ml 函館山 2000円
4.PARKER クインク 57ml ウォッシャブルブルー 972円

革製ペンケース PILOT ソメス 3本差 ファスナー式 茶 6000円

万年筆#2・#3、インク#3とペンケースの購入先は
函館市のお隣・北斗市七重浜(ななえはま)にある石田文具

次に万年筆の画像。
一番上がダイソー(上の表の#6)。以下、透明軸2本が#2と#3。
#4のプレジール。#0雑誌の付録 COACH。一番下が#1のカクノ。

上の写真の中に、#5のプラチナ #3776 センチュリーが無いのに
気が付いた人は居ますか?

それは何故か。これに入れるインク#4がまだ届かないからだ。
今日(1月14日)着になる予定。昨日は外出中に宅配便が来たが
留守なので持ち帰ったため。

ついでに革製ペンケースの画像も。
仮に真ん中に千円のプレジールを入れておいたが、
ウォッシャブル・ブルーのインクを入れた、透明軸の
#5のプラチナ #3776 センチュリーが完成したら
入れ替える予定。


いよいよ、試し書き。字は下手なので、そこは無視してね。

なお、使用した用紙(ノート)は次のとおり。書いた内容は年末に読んだ本。
アピカ Premium C.D. NOTEBOOK A6サイズ 5mm方眼 96枚


 このノートに書いて唯一、インクの吸収に時間が掛かったのが
石田文具オリジナルのインク「函館山」(薄い緑色)。同じシリーズの
「がごめ」(昆布色)が濃いのと比べると、物足りない。

以下の用紙は EPSON 両面上質紙<再生紙> A4 250枚入り。
やっぱり「函館山」の薄緑色だけ存在感が薄い。
これを使いたい気には、あまりならない感じ。

反対に、透明レッド/カリグラフィーの万年筆は「つつじ」の
インクの色も好きだし、字の縦画が太く、横画が細いのも良いね。
メリハリが付いているから。

108円のダイソーは中字だが、結構太い。インクの出が激しい。
別売の5本入り交換インクは短く、ヨーロッパ仕様だという。

この調子だと、すぐにインクが無くなって交換インクを求める
ことになるのは「火を見るよりも明らか」だ。細字が欲しいな。
でも売っているのは中字のみ。