2017年3月15日水曜日

万年筆ぬらぬらするも散りぬるを

神戸派計画という会社から出ているノート
「GRAPHILO A5 8mm横罫」を試してみました。
帯に「万年筆ぬらぬら派。」と書かれています。

参考サイト
1.ナガサワ文具センター
2.Pen41 文房具ときどきコーヒー
3.lifeful.jp 毎日をつらつらと...

万年筆で書いた感想はタイトルの如(ごと)し。
結論としては残念句でした。

今の私の気持ちをクラシック音楽に例えると次の曲に。
フォーレ:「シチリアーナ」

本当は次の曲のような気分になることを期待していたのに。
エルガー:行進曲「威風堂々」

使用した万年筆は8本。インクも8種類。<F>は字幅。
EF:極細、F:細字、FM:中細、M:中字、B:太字

1. プラチナ #3776 センチュリー ギャザード<F>、Pilot 天色(あまいろ)
2. Pilot  Justus 95<FM>、Pilot 山栗(やまぐり)
3. Montblanc Meisterstuck 149<M>、ミステリーブラック
4. セーラー プロフィット21 長刀研ぎ<FM>、セーラー 青墨(せいぼく)
5. プラチナ #3776 センチュリー ニースロゼ<F>、Parker ウォッシャブル・ブルー
6. ファーバーカステル デザインシリーズ カーボン<EF>、Pilot 竹炭(たけすみ)
7. ラミー サファリ<M>、山葡萄(やまぶどう)
8. プラチナ バランス<F>、Pilot 深海(しんかい)

パイロットのインキ「色彩雫(いろしずく)」シリーズを
主に万年筆にコンバーターで入れて使用しています。

セーラーのインク「青墨(せいぼく)」も好きです。

このノートでは、これらは、ことごとく、インクが散っていました。
「散る」とは「にじむ」という意味です。

せっかく細字で書いたのに、時間が経つと太字になるのでは
実用になりません。

唯一、散らないインクがありました。
パーカーの「ウォッシャブル・ブルー」。

以下にノートに書いた結果を示します。


これがノートの表紙と帯です。次は裏表紙と帯。
次に帯を拡大します。
説明を読んでいて、空(むな)しくなります。

ここから、空しさの始まりです。

題材は図書館から借りた俳句の参考書。
本のタイトルとは裏腹の結果です。




ウォッシャブル・ブルーは生産中止で在庫のみ。Amazonで高騰していると聞く。
このインクが唯一散らない例だが、以上の理由で万人向けでは無い。


散らない方の2番手が上の例。<極細>のペンポイントだから、インクの出る量が
少ないため、にじみの程度が低いと思われる。次の<中字>と見比べて戴きたい。





このノートの方眼紙バージョンも同時に購入。
そちらを使う機会はいつになるか判りません。

最後に、今の気持ちを次のクラシック音楽に託します。
ラフマニノフ : 「ヴォカリーズ」

そこで一句。
 グラフィーロにじむインクに涙落つ

2017年3月3日金曜日

万年筆のペンポイント養成2ヶ年計画

万年筆でペン先に付いていて、紙と直接接触する部分を
ペンポイント(pen point)という。主にイリジウム合金を使用。

買ったばかりのペンポイントは万人向けに調整されている。
これを使用者が使いやすくするには、毎日書くことが一番と
言われている。

そこで、楽しみながら書くため、一定の分量のテキストを用意した。

実際に書き始めたのは、日本語の次の作品のみ。
 羽田圭介『成功者K』

以下のリストは、やるとしたら、これという希望のみ。

練習方法:本を書写する

1回当たり原稿用紙10枚に筆写する
(日本語の場合:所要時間は約2~3時間)
 24ヶ月×(3回/月)=72回
 72回×(10枚/回)=720枚

これは、あくまでも計算上で、気分が乗らない時は書かなくても良い。
週に一回程度と条件を緩くしている。もし毎日続けようとすると、
絶対3回目あたりで挫折する。

週一回なら気が楽だ。枚数も3枚でも5枚でもいいし、調子が良い時は
12枚書いても、まだ続けたい気が起こる。ま、その辺りで止めておく。

モンブランを買う前に、書いていて気持ちが良かったのは
 FABER-CASTEL デザインシリーズ ベーシック カーボン軸。

値段も4千円程度と安く、キャップを付けて書くと、筆がどんどん進む。
指の当たるグリップに溝が付いていて滑(すべ)らない。

キャップを付けた重さはモンブランが33g、ファーバー・カステルが29g。
キャップ無しで、それぞれ 22g, 23g。

1.日本語
 羽田圭介『成功者K』(季刊『文藝』2017年・春号に掲載)
 分量:原稿用紙 560枚
 単行本は河出書房新社より 2017/03/09 発刊予定。

 宮部みゆき『希望荘』小学館 2016年
 杉村三郎シリーズ 第4弾。中編4編を収録。

2.英語
 ALAN JAY LERNER "My Fair Lady" PENGUIN READERS, 1956
 不朽の名作ミュージカル。主演オードリー・ヘップバーン

 Freemantle, Brian "Charlie's Choice"  BLOODLINES, 1997
 英国のスパイ「Charlie Muffin」シリーズ。
 最初期の長編小説3作のオムニバス。原書の刊行年 1977,1978,1979。
 "CHARLIE MUFFIN"
 "CLAPHANDS, HERE COMES CHARLIE"
 "THE INSCRUTABLE CHARLIE MUFFIN"

 邦訳は次のとおり。訳者:稲葉明雄
 フリーマントル『消されかけた男』新潮文庫 1979年
 フリーマントル『再び消されかけた男』新潮文庫 1981年
 フリーマントル『呼びだされた男』新潮文庫 1982年

 マフィンというのはお菓子の一種ですが、このスパイの場合は
一見冴えない中年男で目立たないのですが、心理戦にかけては凄腕。
シリーズ後半ではロシア警察の美人の幹部との間に娘を一人儲けています。

3.フランス語
 ジャック・ドゥミー脚本・台詞 窪川英水訳
 仏和対訳シナリオ『シェルブールの雨傘』白水社 1994年
 フランス映画。主演カトリーヌ・ドヌーヴ

 邦題:『星の王子さま』サン=テグジュペリ 岩波書店 1962年
 ANTOINE DE SAINT-EXUPERY "Le Petit Prince" A Harverst Book
 Harcourt, Inc. 1943

4.ドイツ語
 『ドイツ・リート名詩百選』佐々木庸一訳編 音楽之友社 1964
 ドイツの作曲家によって作曲され、一般に広く歌われている
 ドイツの詩を百篇選んだもの。ゲーテ、ハイネ、メーリケ、シャミッソーなど。

5.ロシア語
 D. M. COOPER "RUSSIAN SCIENCE READER" PERGAMON PRESS, 1964


以下は上記リストの書影。

1.日本語
 羽田圭介『成功者K』(季刊『文藝』2017年・春号に掲載)
 分量:原稿用紙 560枚
 単行本は河出書房新社より 2017/03/09 発刊予定。


 宮部みゆき『希望荘』小学館 2016年
 杉村三郎シリーズ 第4弾。中編4編を収録。


2.英語
 ALAN JAY LERNER "My Fair Lady" PENGUIN READERS, 1956
 不朽の名作ミュージカル。主演オードリー・ヘップバーン

名曲「踊り明かそう」。オードリーの歌は全て吹き替え。

 Freemantle, Brian "Charlie's Choice"  BLOODLINES, 1997
 英国のスパイ「Charlie Muffin」シリーズ。
 最初期の長編小説3作のオムニバス。原書の刊行年 1977,1978,1979。


 邦訳は次のとおり。訳者:稲葉明雄
 フリーマントル『消されかけた男』新潮文庫 1979年
 フリーマントル『再び消されかけた男』新潮文庫 1981年
 フリーマントル『呼びだされた男』新潮文庫 1982年


このシリーズは最新刊の"RED STAR FALLING"
邦訳『魂をなくした男』(上下、新潮文庫)が第16作目。

フリーマントルの作品は、その他の単発、シリーズものを含めて
新潮文庫から60点以上出ている。そのほとんどを主に古本で入手。

3.フランス語
 ジャック・ドゥミー脚本・台詞 窪川英水訳
 仏和対訳シナリオ『シェルブールの雨傘』白水社 1994年
 フランス映画。主演カトリーヌ・ドヌーヴ


ドヌーヴと実の姉妹のフランソワーズ・ドルレアックが共演している
ミュージカル「ロシュフォールの恋人たち」の方が好きです。
DVDとCDも持っています。曲はジャック・ドゥミ。

 邦題:『星の王子さま』サン=テグジュペリ 岩波書店 1962年
 ANTOINE DE SAINT-EXUPERY "Le Petit Prince" A Harverst Book
 Harcourt, Inc. 1943




"apprivoiser" (アプリヴワゼ) 「飼いならす」という意味の単語ですが、この訳で良いのか、という議論があります。

4.ドイツ語
 『ドイツ・リート名詩百選』佐々木庸一訳編 音楽之友社 1964
 ドイツの作曲家によって作曲され、一般に広く歌われている
 ドイツの詩を百篇選んだもの。ゲーテ、ハイネ、メーリケ、シャミッソーなど。
有名な歌曲にゲーテ「魔王」(曲はシューベルト)、ハイネ「ローレライ」(曲はジルヒャー)など。


ドッペルゲンガーを影法師と訳していますが、心理学では二重身と呼び、自分がもう一人居て、その姿を見た者は死ぬと言われています。

河合隼雄『影の現象学』講談社学術文庫(1987)
この本の中に、フロイトが汽車の中で自分の姿に出会った話が。

上の1で宮部みゆき『希望荘』の中に「二重身」が収録されている。

5.ロシア語
 D. M. COOPER "RUSSIAN SCIENCE READER" PERGAMON PRESS, 1964
本書は大学の先輩から 1973年(昭和48年)に戴きました。
表紙に手書きで、その名前が。ローマ字だと、MISAO SENO(妹尾美砂男)。



次の本ですが、ロシア語の文法書を探していた、
大学1年(1971年)の時に札幌の丸善で見つけた。

永村純一『科学技術者のためのロシア語入門』1968
改訂版が1992年に出ている。

これを読んでロシア語の文法を学んだ。名詞や形容詞、動詞などの
活用が基本から詳しく解説されていて、理工系の人には最適な入門書。

例えば、最初の50ページほどの名詞の活用を覚えただけで、ロシア語で
書かれた論文のタイトルを「岩波ロシア語辞典」で引きながら訳すことが
出来る。これで凄く自信が付きました。

この年、同時に、独仏露3カ国語をNHKラジオ講座で1年間学習。

2017年3月2日木曜日

モンブランがやって来た 2017/02/25


高級万年筆のブランドの筆頭はドイツの「モンブラン」(MONTBLANC)。
その王道と言われているのが次に挙げる一本。

マイスターシュテュック ゴールドコーティング 149
Meisterstück 149 
税込で 97,200円。函館の蔦屋書店で購入。

買った夜に原稿用紙に書いてみた。3時間で10枚。
今まで他の万年筆では最高で2時間書くと疲れて手が痛くなったが
このモンブランでは全然疲れない。まだまだ続けられそうな気がした。

立派な箱に入っている。
真上から見たところ。左は紙箱、右はふた付きで開く
横から見た図


比較のため、横に文庫本サイズの手帳を置いた
縦横が各々18cmほどのサイズの箱

次に中身が入った写真を掲載する。
付属のインクは Mystery Black


ペン先を拡大して行きます。
更に拡大。
数字の4810はモンブランの標高を示す。
インクを吸入したばかりのペン先。全く汚れていないのは驚きだ。

これが説明書(SERVICE GUIDE)。Meisterstück No.149 
サイズは、縦163.4mm 横169.6mm。
右の本は文庫本サイズの手帳。
見るからに太い軸の万年筆だ。日本の3大万年筆メーカーの製品と比べてみる。


一番下が今回のモンブラン<中字>。長さ 約149mm、軸径 15.2mm。
これと比較する3本。上から、
1.セーラー プロフィット 長刀研ぎ<中細> 約3万円
2.パイロット カスタム74<極細> 1万円+税
3.プラチナ センチュリー #3776 ニースロゼ 1万5千円

長さも軸の太さも、モンブランが上回っているのは一目瞭然。
軸が太すぎて、これを入れるペンケースを探すのが困難。

さて、このモンブラン<中字>で原稿用紙に実際に書いてみた。
インクはピストン式吸入式で尻軸を回して入れる。
一回入れたら、原稿用紙20枚は楽に書けることが判った。
少し拡大。
字が下手だし、誤字も2箇所あるが、そのままにした。
河出書房新社が発行している文芸誌 季刊『文藝』2017年 春号。

本文を原稿用紙で20枚ほど書写したが、省略。
バックの帆船模型は「Sir Winston Churchill」号(1965年)。1/75 スケール。木製。

おまけは次のムック。万年筆と同時に購入。
『使える!ブランド筆記具大図鑑』玄光社MOOK 2016/11/1 1600円+税
本書 P.106 に今回のモンブランの記事がある。