2020年6月13日土曜日

ロシア語の名詞 расчёт (計算)の発音について

ロシア語の男性名詞 расчёт (計算)の発音について、11の辞書で確認してみた。

そもそも次の本に出ていた、この単語の読みと、電子辞書での発音が
異なっていた。知人にロシア人が居ないので、紙の本と電子辞書の音が
どうなっているかの調査が必要。
永村純一『科学技術者のためのロシア語入門』学献社 1992 改訂初版

расчёта は男性名詞 расчёт の格変化・生格。意味は、計算の。本書 P.77掲載。
読みは「ラすチョータ」。原形は「ラすチョート」。

最初に疑問に思ったのが、NHKテキスト「まいにちロシア語」の 
2020年6月号で応用編で取り上げた次の小説の一節。


ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』河出書房新社 2008年 初版
 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 I-05

NHKテキストP.90  по её расчётам 「彼女の計算では」 名詞が格変化して
複数与格に。ラジオ放送の読みは パイェヨー ラッショータム。
(ついでに誤植も発見。её が ёе になっていた)

どちらの読みが正しいのか? 次の11の辞書で調べてみたら
ラすチョートではなく、圧倒的に ラッショートが多い(9冊)。
なお、6番目と7番目の辞書に全単語の発音の記載がない。

結論。расчётの発音は「ラッショート」で決まり。
永村氏の入門書の発音の仮名書は間違いと思われる。

綴りどおりだと、ラすチョートになるが、発音しづらいので
ラッショートに変わった可能性もある。

日本語だって、やはりが「やっぱり」とか「やっぱし」に
変わって発音されるように、ロシア語にも音便化が起こるの
かも知れない。

さて、結論は出たのだが、以下にその証拠を列挙します。
冒頭に手書きで辞書名を挙げたので、順番に単語の説明を
見ていきます。せっかく調べたので。

1、白水社 パスポート初級露和辞典 1994
 この辞書の収録語数は7000余語と少ないが、イラスト入りでミニ百科などの
読み物があったり、名詞・形容詞の格変化表や動詞の人称変化表が、単語の
説明欄に組み込まれているので非常に便利だ。

2、研究社 露和辞典 1988、1989(3刷)   (ソ連崩壊が1991年)
 収録語数は26万語。これ1冊で語学辞典と百科辞典を兼ねる!と帯にある。
 счの部分の発音が щ と同じことを発音記号で表している。

3、岩波書店 岩波ロシア語辞典 1992   収録語数は約13万語
 この辞典を待っていて、出たと同時に購入した。特別定価 税込7000円で。
  ここでは щ のイタリック体を発音記号の代わりに用いている。

4、博友社 ロシア語辞典 1975、1995 改訂新版 和露索引付き
 収録語数は約5万語。11冊の辞書の中で2番目に新しい。と言っても、
 今から25年前に発刊されたもの。初学者用の中辞典として編集。
 発音辞典として見出語の全部に発音記号を付けている。

5、博友社 ロシア語辞典 1975、1985(第7刷)
 4の辞書の前の版。収録語数は約5万語。変化形が約5500。その他の特徴も同じ。


6、三省堂 コンサイス露和辞典 1989 第14刷(4版)   総見出語10万語。
 初版が1954年、増訂版が1963年、3版 1971年、4版 1977年。
 姉妹編にコンサイス和露辞典が同サイズで出ている。発音記号無し。

7、岩波書店 岩波ロシヤ語辞典 増訂版 1970 第8刷 発音記号無し
 これが最初に買った露和辞典。18歳の時、札幌で。
 調べた単語の見出しに赤線を引きまくった。
NHK ラジオ講座でロシア語とフランス語、ドイツ語を
朝7時から8時まで連続して聞いていた。各20分。

次の3冊は白水社の基本単語集。

8、白水社 ロシア基本語5000辞典 1969、1987 第17刷
 編者はラジオでお世話になったロシア語講師の佐藤純一先生。
 『HHK ロシア語入門』(1970 第4刷)の著者でもある。


 9、白水社 科学技術ロシア基本単語集 1973、1976 第2刷
 見出しは1270語。インターネットの遥か前の時代の本。
 理工系(原子物理、力学、化学、数学、宇宙関係、カタログ)
 すべての見出し語には例文が付けてある。


10、白水社 例文で覚えるロシア重要単語2200   1883、1991 第6刷
裏表紙に「別売カセットテープ」の紹介がある。

11、小学館 プログレッシブ ロシア語辞典 2015 初版第1刷
 2020年1月に函館蔦屋書店で購入。続いてこれの電子辞書も買い
 iPadに入れて活用している。電子版は発音が聞けて、単語の全活用が
 参照出来るので、紙の辞書は家に置いてある。








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