2013年1月12日土曜日

電子書籍(PDF)を作るのは何故か空しい

読みたい本が電子書籍として販売されていないので、仕方なく自分で紙の本を裁断して、つまりいわゆる自炊をしてPDFにする他ない。

そのためには自分で本を買ってこなくてはいけない。当たり前の話だ。
もちろん、読みたい本を選んで購入するのだが、家の中はそういう本で既にあふれている。あの本があった筈だと思うが、見つからないので、手近にある本で我慢する。

活字だけの本なら、カバーと表紙を外して中身だけを裁断機を使って綴じた部分をカットすれば短時間でスキャナーに掛けられる。ところが、漫画本の場合は、絵が綴じた部分まで及んでいるので、裁断機に掛けると、大事な絵が損なわれてしまう。

そうなると、漫画だけは普通の小さなカッターを使って、5枚ずつ小分けにしておいて、背の部分約1~2mmを切り取る作業を延々と続けるしかない。活字本を裁断するには5分もあれば出来るが、漫画本はそれに1時間も掛かったりする。

私がスキャンに使っているのは富士通のドキュメントスキャナー ScanSnap S1500だ。
2年ほど前に100冊程度、これでPDFを作った。本の場合、目次を入力しておけけば、そこから目的のページにジャンプできて便利なので、真面目にしこしこと入力していたら腱鞘炎になってしまった。おまけに肘(ひじ)の神経まで痛めたので、小指がしびれてしまい、お箸(はし)も持てない体になってしまった。

そうなると手術をしなくては、しびれが取れないというので入院して手術を受けた。それが去年の夏。あれから半年が過ぎて未だしびれが無くならない。医者の話では完全に元通りにはならないが軽減するまで2年間は必要だとのこと。

私はタッチ・タイピングが出来る(キーを見ないで打てる)のだが、小指に力が入らないので、小指の受け持ちのキーを打てなくて困っている。それでも何とか他の指を使って補って文章を綴っている。

1年振りに先週、10冊余り裁断して、PDFを作るべく準備を始めた。11日の夜から、ScanSnapで数冊PDFを作ってみた。操作の仕方をだいぶ忘れてしまっていて、参考書を見ながら何とかやっていったら、段々手順やコツを思い出して行き、気が付いたら5~6時間も過ぎていた。

具体例を挙げる。次の活字本と漫画本を使ってみた。

1.乙一(おついち)『The Book』集英社文庫 2012年
 副題:jojo's bizarre adventure 4th another day
 これは荒木飛呂彦原作の漫画シリーズ『ジョジョの奇妙な冒険』の設定を借りた活字の小説だ。定価は650円+税。ヤマダ電機のポイントが400点あったので半額程度で買えた。

2.荒木飛呂彦『死刑執行中脱獄進行中』集英社文庫 2011年
 こちらは漫画の短編集。箱入りの単行本を文庫化したもの。ブックオフで105円。定価は600円+税。

最初に1の活字本から。カバーを取り、表紙をはがすのに数秒で終わる。次に厚さ1cmずつカッターを入れて切り離し裁断機に入れて背をカット。数回で終わるので、ここまでで10分も掛からない。

ここで気を付けるのは、紙が2枚くっついていないか点検すること。ScanSnapに入れた時にひっかかると紙がスムーズに流れていかなくなるから。

読取時の設定は次のとおり。画質:ファイン(カラー/グレー:200dpi、白黒:400dpi)、カラーモード:白黒、両面読み取り。50枚ずつScanSnapに入れてスキャンを数回繰り返す。

出来上がったPDFの容量は 16MB。Acrobat9で〔文書〕メニューから「ファイルサイズを縮小」を選ぶと、縮小後は3.9MBになる。これは本文だけでカラーのカバーはまだ含まれていない。カバーだけをBrotherのプリンタ複合機MFC-6490CNで画像を読み取ると、保存したJPGの容量が200KB強。

このカバーの画像をAcrobat9で読み込んで「ファイルサイズを縮小」したPDFを作ると、100KB弱になった。先ほどの本文のPDFにこれを読み込んで保存した結果、完成したPDFのサイズは4MB。

あとは余白を〔文書〕メニューの「ページのトリミング」でカットしてやれば、電子書籍リーダーで読む際に中身を画面一杯に表示させることが出来るので、大変見やすくなる。

なお、iPad用のアプリ i文庫HDの〔設定〕に「余白カット」の機能があるので、それを使うのが一番楽ちんだ。表紙カバーを先頭に入れると、ページ番号がずれてしまう。だが、これも同じアプリの「(i)情報」の中の「ページ番号」をタップして、「このページを1ページ目にする」を使うと、ページ数が正しいページから始まるように設定が出来る。

2つ目の漫画本だが、カラーの部分と白黒のページは分けてスキャンする。その後で表紙カバーを別に取り込む。本文だけでも100MBを超える。それを縮小するのだが、もう眠いので、続きは明日にします。

5~6時間もPDF作成の作業に掛けているが、その時間で本が数冊読める。だから空しい。それだけ時間を掛けて作ったのに、案外、自分で作ったPDFは読みたくなくなるのが不思議だ。

内田樹(うちだ・たつる)は『街場の文体論』(ミシマ社、2011年)の中でこう言っている。

iPadで本を読んでいても、面白さが「何か」足りない。(中略)その理由は本の厚みがないということです。(入力者注:太字は原文では傍点)だから、残りページがわからない。(P.55より)

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