2012年3月6日火曜日

Bonjour は「ボンジュール」ではない――私のフランス語の発音 その1

フランス語の発音の中に鼻母音(びぼいん)というのがある。
日本語でこれに似た発音を探すと、大阪弁に近い音があるように思う。
たとえば、「そうや、おまへんか?」の「へん」のあたりが。あるいは、
風邪を引いた時の鼻声なんかも。

鼻母音は文字通り、母音を発する時に口から音を出す際に、同時に
鼻からも若干、息が抜ける。聞いてもらえば、すぐに違いが分かる。

Bon は英語のgood に相当する。カタカナで表すと「ボン」としか書けない。
しかし、私の感覚では、「ボー」と言いながら、同時に鼻から息を漏らすと
フランス語の Bon の発音になる。

カタカナの「ボン」だと一端言い切ってしまって、すぐに音が途切れるが
Bon の場合は、いつまでも息が続く限り、音が続けられる。あたかも
船の汽笛のごとく。ま、そんな感じがします。

だから、Bonjour は「ボンジュール」ではなく、「ボージュール」と言いつつ
「ボー」がちょっと鼻に抜ける感じで発音すれば良い。日本語の「ン」は
絶対に出てこない。逆に「ン」を付けないのが正しい鼻母音だと思う。

Bien も「ビャン」ではなく、「ビエ」と言いながら、鼻から息を出す感じ。
maison も「メゾン」ではない。「メゾ」と言いつつ鼻から息を漏らす。
一度この感覚が掴(つか)めれば、あなたの鼻母音は立派なフランス語となる。

私は決して関西人ではないが、こないな説明で「どないや?」。
このコツさえ掴めれば、enfant も jardin も parisien の発音も簡単。


今度は、fille の発音。「フィーユ」ではない。思いっ切り、口の両端を横に
引っ張って「フィー」と言うところまでは良い。次の瞬間、その緊張を
一気に緩める。たとえば、輪ゴムを両手で引っ張っていたのを、パッと
離す感じ。

日本語の「ユ」とは全然違う曖昧(あいまい)母音になるのが正解。
よって、travaille は「トラヴァーユ」ではない。「トラヴァーイ」みたいに
言ってて、「イ」の寸前に一気に口の緊張を解く感じかな。

曖昧母音というのがフランス語の肝(キモ)だと思う。その代表が un 。
男性名詞の前に付ける不定冠詞だが、間違っても日本語の「アン」ではない。
力を抜いて締まりのない口元をして「アー」とも「ンー」とも付かず鼻から
息を出す。

  un bon chien   愛犬に向かって「いい子、いい子」と呼ぶ時に、こう言う。
(この例は鼻母音の3連チャン。ゆっくりと発音してね)

この時の発音をカタカナで表すと「アン・ボン・シエン」としか書けないが
自分で意識的に鼻から息を抜く感じで発音してほしい。慣れれば簡単だ。
関西人なら、その日のうちに出来るだろう。だって日常会話でいつも鼻から
無意識に息を抜きながら話しているんだからねっ。



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