おまけに雪かきの疲れも溜まっていて、肩こりもある。
さて、フランス語特有の発音の話です。鼻母音の次は「のどひこのR」。
Regardez(ごらんなさい)は、私には「ホギャルデェ」と聞こえます。
どちらかと言うと喉(のど)の奥の摩擦音に近いですね。
ロシア語のRは巻き舌のRですが、フランス語のRはドイツ語のBuch(ブーフ)のような感じ。この感覚はRの次の発音に慣れると分かると思います。
例1:Marche vite! 「マルシュ ヴィット」ではなく、「マフシュ ヴィットゥ」。
ここでの「フ」は唇(くちびる)を使う「fous」ではなく、喉の奥から出ます。
例2:La radio 「ラ・ラジオ」ではなく、「ラガジオ」に近い音に聞こえます。
でも歯を使う「ガ」(ga)ではなく、やはり喉の摩擦音。
例3:Vous désirez ? 「ヴ デジヘ」と聞こえるかも知れません。
例4:Victor Hugo 人名ですが、始めてラジオから聞こえて来たのは「ヴィクトリュゴー」。って一体誰?
音だけ聞いたのでは誰のことやら、さっぱり分からないでしょう。
『レ・ミゼラブル』を書いたフランスの文豪と言えば? ……「ビクトル・ユゴー」です。ここでは名前と姓が続けて発音されてしまっています。
例1~例3では、どこに「R」の音があるのかと思うでしょう。例4になって、ようやく「R」の音みたいな。
travaille は「トラヴァーユ」ではなく、「トハヴァーイ」みたいに発音します。
この「ハ」は例1の如(ごと)し。
Au bord de la mer 前の「bord」は「ボーホ」、後ろの「mer」は「メーハ」。
もちろん、いずれも喉の摩擦音。Pierre も「ピェーハ」に近いです。
genre は「ジャンル」ではなく「ジャンフ」。しつこいようですが、いずれも喉の摩擦音。
結局、「Re」が先頭に来る時に「のどひこのR」になり、それ以外は大抵、喉の摩擦音になるのではないかと思います。ここで例2では2語がひと続きに発音されるので、後者になります。rencontreではrenが「のどひこのR」でtreが喉の摩擦音。要するにRの前に別の子音が付いていると喉の摩擦音。例:presque。
一応、私の中のフランス語のRの発音は上のように、2つに分類されます。
ですが、無意識にやっているので、厳密にはどうなんだろう?
以下は余談です。
フランスのミュージカル映画「シェルブールの雨傘」は和仏対訳のシナリオ本が出ていますが、同じ「ロシュフォールの恋人たち」にはありません。(どちらも19歳のカトリーヌ・ドヌーヴが主演)
私が高校生の頃、初めてラジオで聞いて衝撃を受けたのは後者の方なので、これには特に思い入れがあります。
昨晩も徹夜で6時間ほど、DVDをパソコンに掛けて見ました。2時間程度の映画なのに何でそんなに時間が掛かったって?
それはネットで歌詞を検索して出てこなかった場面を、何度も聞き直していたから。CDに入っている歌の歌詞はググれば出てきます。
双子の姉妹のうち、赤毛のソランジュ(フランソワーズ・ドルレアック)がアメリカ人の作曲家アンディ(ジーン・ケリー)と路上で出会う場面での台詞を耳で聞いて、フランス語の文に直す(=テープ起こし)の作業を延々としていました。
自分の耳で聞いて、40年前に覚えていたフランス語の単語(と文法)を思い出す。
もちろん、日本語の字幕を参考にしています。その例をいくつか挙げてみます。
Sはソランジュ、Aはアンディ。
(フランス語) (字幕)
S : Excusez-moi. すみません
A : Je vous en prie. こちらこそ
A : Vous êtes la musicienne ? 音楽家?
S : Oui, Monsieur. ええ
Au revoir, Monsieur. さようなら
A : Mademoiselle, votre combinaison est dépasse.
マドモワゼル、下着(スリップ)が出ていますよ。
S : Je le sais. Mais, ça ne fait rien.
(cにはセディーユが付いている。サヌフェリヤン)
知っています。お構いなく。
A : Mademoiselle, peux-je vous voir ?
また会えますか?
S : Je ne sais pas. 知りません
Je ne crois pas. ムリだわ(会えるとは思わない)
(アンディが通行人の女性にぶつかって)
A : I'm sorry, Mademoiselle. どうも失礼
Mais je suis amoureux. 恋をしたんです
(通行人)Vous avez de la chance! 幸せな人(運がいいですね)
A : Je fais ce que je peux. ガンバリますよ(恋が叶うまで、そうします)
結構、頭を使います。集中力も。もちろん辞書も引いて間違いがないか確認。
何時間も掛けて、せいぜい、この程度なので、私の実力がないのがバレてしまいました。間違っている可能性があるので、誰かに見てもらいたいものです。
早口でしゃべる台詞は何を言っているか判然としません。おいおい慣れていけば何とか解読ができるでしょう。まるでミステリの謎を解くみたいに。(字幕の日本語を参考にして)
単純にフランス語の学習書を音読しているだけでは面白くないので、上に上げた方法でフランス語に挑戦すれば、飽きずに続けられます。これが私の編み出したフランス語攻略法です。
無から有が生まれるはずもなく、40年前の1年間の学習の蓄積があって初めて出来る作業です。自分の記憶に挑戦する作業でもあります。
たぶん、こうして苦労して覚えた文章は(ボケなければ)死ぬまで覚えているでしょう。もう命を懸けていますから。フランス人と話す時に反射的に出てくれば良いのですが。
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