意味不明の経文を写すのも、毎度のことになると
有り難みが薄れる気がします。
そこで今回は現代文を書写しました。
使用した万年筆はモンブラン マイスターシュテュック149。
文房具の評論で有名な土橋 正(つちはし・ただし)さんの次の本を
読んだ後で、そこに登場する人物が書いた別の本を図書館から借りて
来ました。
土橋 正『文具上手』東京書籍 2012/8/3 \1,500+税
帯で「十人十色の文具術」と言いながら12人にインタビューしています。
その最後、12人目、グラフィック・デザイナーの松田行正さんが書いた本を取り上げます。
松田行正『デザインの作法』平凡社 2018/3/7 \2,300+税
右の本は小説。映画監督を夢見る2人の大学生の話。親友でライバル。
さて、今回書写したのは、『デザインの作法』の中から気が引かれた
(第4章)デザインの役割 の一部。題して、「四角形」事件。
(内容は、講談社現代新書のカバーデザインが2004年にガラッと変わったこと)
原稿用紙に書いて5枚半の長さ。
字が小さくて読みづらいので、以下、左右に分けて掲載します。
3枚目を書いていたのは午後5時頃。お腹が空いて、集中力が落ちて
誤字が出て来た。
終わったのは午後6時。書写に掛かった時間は2時間。直後に夕食(カレー)。
文章だけを読んでも、講談社現代新書のカバーデザインが
どのように変わったのか、理解出来ないと思います。
そこで、蔵書1万冊の中から、ここで取り上げられた新書が
どれだけあるか、探して全部(約60冊)引っ張り出したのが以下の写真。
手始めに12冊を見てみました。
1971年から、この新書のカバーをデザインしたのが杉浦康平さん。
上の左端の本です。それから30年以上、こういう形が続きます。
2004年、突然、カバーのデザイナーが変わりました。真ん中の本がそれです。
新しいカバーのデザイナーは中島英樹さん。
清水義範『大人のための文章教室』2004/10/20 \720+税
白いバックに水色の正方形があるだけ。背の部分は下に示すように
正方形の色と同じです。この色は各々の本ごとに異なります。
背の部分だけ毎回色が変わるのでは、新書全体の統一感がないですね。
表紙に正方形がバーンとあるのは、段々不気味に思えて来た。
杉浦さんの、この楽しい雰囲気! どの本も個性的!
表紙のド真ん中に色の付いた正方形があるだけ。無味乾燥なデザインです。
装幀者(カバーデザイナー)の名前が隠されていますね。下はそれをはがした跡。
張り紙で隠された跡の下には誰の名前があった?
軍事評論家の江畑さん、懐かしいな。テレビに出まくっていた時代はいつだったか。
髪がズラ疑惑だったっけ。
ここから、デザインが変わる前と後でどのように変化したかを見て行きます。
同じ本が2冊あったりしますが、置き場所に無い本は探すのが面倒なので
また買いました。ダブリは恐らく500冊以上か。多いときは蔵書3万冊はありました。
上の2枚が杉浦康平さんのデザイン。下の2枚が新しいデザイン。
背の部分の変化に注目。表紙の正方形が小さくなって、タイトルと氏名の間に。
杉浦さんのカバーの表紙には、本の内容の紹介やイラスト、図などが入っています。
新しいデザインになると、帯が全体の2/3ほどもデカクなって、そこに
内容紹介が出るようになりました。下の本など、正方形を隠すように
字で埋め尽くされています。もはや正方形が邪魔者扱い!
右の本など、目次まで全部書かれると、ウザい気がしてきます。
蔵書は正確には数えたことは無いですが、新書は1000冊くらい、文庫は3000冊か。
単行本は5000冊? マンガは1000冊超。こんなもんかな。
最後に、私が好きなカバーを。
右の「死ぬ力」の正方形が、真っ黒だったら、不気味になるでしょう。
カメラを持つ手が映り込んでいます。
左の猫の写真をはめ込んだところは、もっと大きくしても良かった。
その分、字を小さくすれば良い。
たくき・よしみつさんのサイト。2012年、一眼レフを始めた頃、参考に。
追記(2018/04/22)
あれから、物置に置いてあった段ボール箱の中から
講談社現代新書が見つかったので、写真を追加します。
今までのと合計すると、80冊になりました。