2018年10月10日水曜日

NHK BS103 美の壺「万年筆」を見て

NHK BS103で9月21日(金)放送(再放送 NHK Eテレ 9月28日)の
美の壺 File 456 「書くよろこび 万年筆」を録画して視聴した。

このシリーズは主に美術的な観点から様々な文化・芸術・自然・工業製品等を
3つのポイントから捉えた30分番組だ。

万年筆については 一度 File 5で取り上げられ、10年ほど前に放送された。
今回は二度目の紹介になる。

狂言回しは俳優の草刈正雄。60代の割には知識教養ともに貧困という設定。
家で見つけた「賢者の万年筆」が書けないことに悩み、助けを求めた相手は
町のご意見番・鈴木さん。鈴木さんがその万年筆を持つとちゃんと書けた。

自分が賢者でないから「賢者の万年筆」で書けないと思い込んだ草刈さん。
賢者になるにはどうしたら良いかと鈴木さんに質問した。すると、
「町内の掃除をしては」との回答があった。
それを聞いて、それから町内の掃除を毎日忠実に続けた草刈さん。

一年後、鈴木さんの前で草刈さんが再度万年筆を持ったが書けない。
それを見ていた鈴木さんから次のように指摘された。

「ペン先の丸い穴を上に向けて持たないとダメ」
つまり書けない原因は草刈さんの万年筆の持ち方が悪かったこと。

いやー、こんな愚かなコントは見たことがない。
余りにも低レベル。鈴木さんにも責任がある。
万年筆の初心者である草刈さんの持ち方を最初に良く見て指導すべき。

草刈さんもパソコンを持っているなら、「万年筆の書き方」などの
検索語を入力してgoogleで探せば、いくらでも解説が出るのだ。
あるいは、大きな本屋で万年筆の参考書を探すのも良いだろう。

そんなアホなやりとりはNHKの教養番組には必要ないだろう。
それこそ時間の無駄である。

番組の最初に、持ち方はこうです、と説明するのに1分も
掛からないだろう。


さて、万年筆のポイントは、軸、ペン先、インクの3つ。
それぞれについて、エキスパートたちが解説をする。
それらの内容については特に問題なし。

但し欲を言えば、万年筆のメーカー名と商品名、万年筆の取扱店名を
明らかにしても良いのではないだろうか?

私の分かる範囲で、それらについて、かっこ内に補うことにする。

1.軸に宿る職人技を楽しむ
(1)東京・代官山にある大型書店(蔦屋書店・代官山店)
   その文具売り場には、およそ1000本の万年筆が並んでいる。
   文具コンシェルジュの佐久間和子さん
   万年筆の胴体、軸の魅力を見せていただきました。

 ・イタリアのメーカー(アウロラ AURORA)
   アドリア海をイメージした万年筆(マーレ・アドリア)
   (「趣味の文具箱」vol.34(2015/7/10)の表紙を飾っている。
    本文p.14-15に見開きで解説が載っている)

 ・古代ローマ帝国の都市をテーマにした大理石の万年筆
   (メーカーはファーバーカステル。キャップの形から)
   (ペン・オブ・ザ・イヤー2018「古代ローマ帝国」に似ている)
   (「趣味の文具箱」vol.45(2018/3/20)のp.12-13 参照)
   但し、放送に出た個体は胴軸の大理石が白でも黒でもない。薄水色。
   「ミケランジェロがダビデ像を彫ったときに切り出した場所の大理石」
   と解説する佐久間さん。

 ・シルバーの装飾が美しい軸。イタリアの職人による繊細な手仕事です。
   (ヴィスコンティ「ウォーターマークデモ」スケルトンとシルバーの組み合わせ)
   (「趣味の文具箱」vol.39(2016/10/10)のp.95に解説が掲載)
   照明のせいか軸がゴールドに見える。


(2)軸を削るのは、ろくろ職人の「趣味の文具箱」vol.34(2015/7/10)の
  松原功祐(こうすけ)さん(中屋万年筆)。使う材料はエボナイトと
  呼ばれる樹脂。
  (エボナイトは)一番加工しづらいですね。
  刃物がすぐ切れなくなっちゃうんですよ。
  そばに砥石を置いておいて一本一本研ぎながら削らないと削れないんですね。
  道具はすべて松原さんが使いやすいように工夫したもの。
  軸の中心が寸分の狂いもなく万年筆の真ん中を貫くように削る。
  熟練のなせる技です。
  
2.ペン先 理想の書き味を求めて
  作家・北方謙三が原稿を書くモンブラン万年筆
  千葉のフルハルター 森山信彦さんのペン先研ぎ

3.インク 小瓶に込めた物語を味わう。
  万年筆画家・サトウ ヒロシさん(集めたインク160色)
  「趣味の文具箱」vol.47(2018/9/20)のP.36-37の記事
   TACCIA タッチア ナカバヤシが手がける
  「すなおいろ・インク」13色一挙デビュー(P.36)
   万年筆画家・サトウ ヒロシさんのインプレッション(P.37)


  神戸・ナガサワ文具で作ったご当地インク67色
    商品開発室 室長 竹内直行さん
  インクブレンダー・石丸治さんの作るインク
  
以下は余談です。

 (株)石田文具にて石丸治氏を迎えてインク工房を開催。
  2018年12月8日(土) 10:00 - 18:00
      12月9日(日) 10:00 - 17:00
  



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